コンバースと井口さんについて

 

コンバース履いていたころ少額のお金借りてはちゃんと返した



コンバースって色々な種類や色があるしそこまで高くない靴なので大体中学生くらいからかっこいいなと思って履き始めて、履き心地悪くないけどでも布っぺらで構成されているので汚くなりやすいしヘロヘロして見えるし若い人がよく履いてるよね、んじゃそろそろワイはNIKEとかadidas履きますわ、という感じで20代も後半になると大分履かなくなるタイプの靴であるように思う。一応スニーカーなのだろうか。コンバースというタイプの靴ですよね。

 

コンバースを履いているのも、ちょっとだけお金を借りて返すのも、若い。今はもうやらない、というよりだんだんできなくなることじゃないのかな、と思う。

自分は変わらないのに、歳を経ていくと「もう大人だから」みたいな、なんだかばつがわるい感じがしてくる、そんな雰囲気をちらりと感じたりもする。

 

私はこの歌の作者の井口さんとつきあいがあるので、井口さんのふだんの短歌(?)よりかなり現実的な短歌だなあと思う。

 

話は変わるが、短歌はそれを作った作者の背景やら性格やらは考慮しないで読むべきみたいな風潮があると思う。でも私は知っている人の短歌にその人の内面を感じることが好きだから、めっちゃ井口さんの人生とか他の井口さんの作品とかについても思いを巡らした。

 

井口さんは文芸部の先輩で3つ違いなので学年は被らなかったのだが、過去の部誌を見ると井口さんはオリジナルのかわいいきのこの絵ばかり描いていて、何だこの人センスあると思っていた。しかも俳句も良くて、会ったことがないがゆえに架空の憧れの先輩になっていた。

あるとき井口さんが学校を訪れて、俳句甲子園の試合の練習相手になってくれた。その時に、私の眼鏡の柄(えんじのチェック柄)を褒めてくれたので、私はうひょおとなった。

 

それから色々あって井口さんとは東京で仲良くなって、井口さんには井口さんの人生の色々があって、今度一緒に短歌の同人誌を出すことになった。私は井口さんと仲良くなる前の過去を知っているわけもないのだが、この歌からきのこ1個ぶんくらいの過去を感じた。

 

コンバース履いていたころ少額のお金借りてはちゃんと返した



出典:『オレンジの/あかピンクのくま』今井心・井口可奈

今井心 連作「ちょいやば真夏の吐き気」より

 

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